「やるべきことがあるから・・・」 私の名前はナドゥ・・・。リヴリーだ。 白くて猫みたいなかわいい体つき。だがよく見ると目が怖い・・・まぁこれは生まれつきだ。気にしたところでどうにもならない。 私の飼い主はウリック。彼がナドゥとなずけてくれた。前の名はC−5。私はC−5でよいといったが聞いてもらえなかった。 私たちは今、訳あって出会い、訳あって二人で旅をしている。 黒い淀んだ雲が彷徨うこの空の下、私たちは黄色い使い古したボロい車で海沿いを東に進んでいった。 私はウリックの隣に座っていた。すると、遠くの地平線に微かに何か見える。それは橋だった。とても大きな橋。私たちが探していた橋はこの橋だった。 この橋を渡れば隣の大陸まで船賃がかからずにすむ。しかし、この橋がどこまで続いているのか解らなかった。そして日も傾き始めていた。 しかし、ナドゥは気にせず車を走らせた。 走り始めてしばらくたった頃、疑問がひとつ浮かんだ。なぜこんな人っ子ひとりいないここにこうも立派な橋があるのか・・・。 すぐに答えがわかった。車を走らせていると石碑がひとつぽつんと立っていた。そこにすべてが書いてあった。 「私たちはやるべき事を見つけた。私たちはそれをやり遂げなければいけない義務がある。そして、全てをここに記す。」 「この国は周りと比べて少し特殊な国だ。綺麗な立方体の石を重ねて出来た建物が海岸にいくつもあった。私たちはそれを「ピラミッド」と呼んでいた。 私たちはそれを解体し城壁を作り家を作った。」「しかし、ある時の事だ。ある猟師が山に狩りに出たときの事、四角い箱を見つけた。 それはとても丈夫で五人がかりでやっとの事で開けてみた。中にはたくさんの書類が入っていた。それを見た私たちはひどく落ち込んだ。 それには全てが書いてあった。私たちがなぜここにいるか。何をすべきであり、何をしてきたか。そして書類もひとつに橋の設計図があった。」 「そしてこう書いてあった。」 「一、橋の設計に向けて材料の石材を予定地の海岸に積み上げておく事。二、刑務所に投獄されている囚人を全て近くに住まわせ建設作業員として配属すること。」 「これを見た私たちは、橋について協議した。そして投票を行った結果。全員橋の建設に賛成した。そう、私たちはやるべき事を見つけたのだ。」 「そして、私たちは過ちに気づいた。着工して3ヶ月、順調に橋は出来ていった。しかし、足りるはずの石材が足りない。私たちは石材を家や橋に使ってしまった事に気づいた。私たちは8割程度の家を解体した。家が無くなった人々は他の家に同居してもらう事にした。そして、解体した石材を加工し、橋に使った。作業が増えたため建設の効率が落ちたが私たちは作業を続けた。最初は十分あった、やがて少なくなって、やがて足りなくなった。家や城壁に使われていたので足りなくなる事には気づいていたが、こうも早く無くなるとは思いもしなかった。そしていつしかこの国には家が無くなってしまった。私たちの領土はすでに砂漠化し、そこに国があったとは思えないほどに寂れた。材料が無い今、橋を作る術は無くなった。しかしやるべき事を見つけている私たちは話し合い、協議し、新しい材料を探した。」 「そして私たちは砂と土を固めてレンガを作った。無論、耐久性が大変低くすぐに崩れてしまう。私たちは話し合い、城壁を崩す事にした。もともとド田舎な国なので攻めてくる国などもともとありはしないのだ。私たちは城壁を石材に加工し、建設材料に使った。やはり、作業効率は落ちた。」 「着工してどのくらいの月日が流れたのか・・・・私たちはただ淡々と、黙々と、やるべき事を成していった。そして、ある日ある喜びが。なんと、遠くの地平線に向こう側の大陸が見えたのだ。私たちはおおいに喜び合った。しかし、ここまで来たというのにどうしても石材が足りない。そして、石材が底を尽きてしまった。石材がなくなり私たちの作業はとうとう完全に止まった。」 「私たちは話し合いなにか新しい材料は無いか話し合った。今回の協議ではさすがに反対者が続出したが賛成が上回っていたので私たちはこの方法を可決し、実行に移した。その方法は・・・」 「あのある方法が可決されてから4日。前回の協議会で反対した人たちが一向に出席しない。私たちは彼らのことも心配したが今は材料の事でいっぱいだった。そして私たちは石材置き場を様子を見に行った。するとそこには歪な形の石?らしきものが積み上げられている。私たちはその正体を知っていた。そしていつしか私たちの国の人口は急激に減っていった。橋の建築のせいか気づいている人はほとんどいないが・・・」 「そして協議を進めるにつれ、人口が減っていき、協議の内容から私たちは女、老人を全て殺した。殺された所で橋の建築に夢中になので悲しむ人は数えるほどしかいなかった。逆に嬉しがる人のほうが多いくらいだった。そう、一番いい材料がこうも身近にあるとは誰も気づかなかったからだ。材料は私たちにはもともと備わっていたのだ。」 「私たちはその殺した死体から肉を削ぎ、骨だけにした。私たちはその骨を残った穴に埋め始めた。この骨はちょうどいい硬さで建設にはちょうどよかった。しかし、それでも材料はまだ足りない。私たちは次に子供を全員殺した。そしてまた肉を削ぎ、材料にした。子供の骨は弱く、少し硬度としては満足のいくものは出来なかった。しかも少し足を踏み入れるとすぐに沈むため、作業の効率が落ち、あまりはかどらなかった。そして最後に私たちは男たちを一人ずつ殺し、骨をとった。男の骨は大変丈夫で橋を建設するのに最高の材料だった。そして私たちは、というより私は橋を完成させた。もう、誰もいないが・・・」 文はそこで途切れていた。石碑をよく調べると裏にこう記してあった。 「私たちは成し遂げたのだ・・・。」 私は意味がよく分からなかったがウリックはもう分かったような顔をしている。聞いてみたが教えてはくれなかった。 よく見ると、石碑から橋の色が変わっている。 ここからが・・・ 島名:法国アドビス/飼い主名:ウリック/リヴリー名:ナドゥ |